簡単なセルフケアの最有力候補です!
Thought Field Therapyの頭文字をとってTFT=思考場療法といいます。
東洋医学でいう経絡に対応する場所に、それぞれの症状に合わせたアルゴリズム(手順)を用いてタッピング(トントンと軽くたたく)することで症状が改善するというものです。
科学的根拠を欠くといった意見もあるようですが、実際に臨床で大きな効果をみせているようです。特に重いPTSDに対してのエビデンスもあるようです。
その中でもTFTセラピストのキャロライン・サカイ博士とそのチームは、1994年にルワンダで起きた大量虐殺(ジェノサイド)の生存者である子どもたちにTFTの治療をおこないました。100日ほどの間に80万から100万人が虐殺された事件で、自分の家族が目の前で殺されたり、他の人々がナタにによって至近距離で殺されたりするのを目撃した子どもたちには、重いPTSDが形成されました。
PTSDの内容は悪夢、フラッシュバック(体験の再現)、不眠、夜尿症、鬱症状、引きこもり、激怒など。
エル・シャダイ孤児院というところでおこなわれたTFT治療において、15分~20分ほどの短時間で治療が行われ、恐怖感や怒り、フラッシュバックや眩暈や悪夢も再発しなかったということです。
そして、何よりもこの手順(アルゴリズム)を覚えれば、自分自身でケアをできるという点が素晴らしいと思います。
ぜひ、試してみてください。
目次
1.TFT思考場療法の原理
もともとは、アメリカのロジャー・キャラハン博士という人が1980年代にこの治療法を発見し、改良がおこなわれながら、現在に至っている。
最初、博士は水恐怖症の患者に対し、胃の経絡である目の下をたたくように指示したところ、水恐怖症が治ったことから発見した。
博士は、人が感情的問題を伴う事柄や思考について考えているとき、ある「思考場」にチューニングされていると考え、「思考場」こそ「TFT体系の最も基本的な概念」であると主張する。
思考場の歪みが、特定の問題と結びついて、それら問題について考えると活性化されるという。思考場療法とは鍼灸などに使われる経絡を含む自己治療で、治療には経絡のタッピング(指でトントンと叩くこと)や脳の様々な部分を活性化する目の動きやその他の活動が含まれる。
様々な症状に応じた(例えば、恐怖、不安、依存、抑うつ症状、パニックなど)
2.TFT思考場療法の手順
(1.)問題となっている不安な事などを思い浮かべます。
(2.)右手の人差し指と中指の二本指を使い(左手でもよい)、左手のPR(空手チョップで当てる場所)を15回タップ
(3.)右手の人差し指と中指の二本指を使い(左手でもよい)、左胸上の圧痛領域(胸の左上の筋肉の盛り上がり)を15回さする
(4.)右手の人差し指と中指の二本指を使い(左手でもよい)
①眉頭➡ ②目の下➡ ③脇の下➡ ④鎖骨下 を5回ずつタップする
(5.)9g(ナインジー)の手順を行う
右手の人差し指と中指の二本指を使い(左手でもよい)、ガミュート(手の甲側の小指と薬指の間の溝を1~2cm手首側に下がったポイント)をタップしつづけながら、次の各動作に5回ずつタップしながら
➡ ①目を開ける(ガミュート5回)
➡ ②目を閉じる(ガミュート5回)
➡ ③目を開けて、視線のみを右下(ガミュート5回)
➡ ④視線のみを左下(ガミュート5回)
➡ ⑤目を右回りにぐるっと1回転(ガミュート5回)
➡ ⑥目を左回りにぐるっと1回転(ガミュート5回)
➡ ⑦適当にメロディーをハミング(ガミュート5回)
➡ ⑧「1,2,3,4,5」と数える(ガミュート5回)
➡ ⑨適当にメロディーをハミング(ガミュート5回)
(6.)右手の人差し指と中指の二本指を使い(左手でもよい)
①眉頭➡ ②目の下➡ ③脇の下➡ ④鎖骨下 を5回ずつタップする
(7.)アイ・ロール
ガミュート(手の甲側の小指と薬指の間の溝を1~2cm手首側に下がったポイント)をタップしながら、顔はまっすぐ視線だけを10秒かけて床から天井まで動かす。
” 参照元:日本TFT協会ホームページ ”
まとめ
いかがでしょうか?
と聞かれても、実際に何回か試してみなければ効果はわからないですよね。
前回紹介したバタフライハグよりも、少し手順は多いですが試してみてほしいです。
不安に押しつぶされそうな人、恐怖でいっぱいの人…その方々は、不安や恐怖という記憶が条件づけられてしまいパターンが構築されてしまっているのかもしれません。TFTでは、パータベーション(心的動揺のエネルギー)と特定の思考場へのアクセスを意味しているようです。
エネルギーの誤用につながらないよう自己治癒するのが、このタッピング・セラピーということのようです。
TFTは解除反応(その体験を再現すること)や苦痛をあまり生じさせず、さらに自分自身で行うことのできる治療法なので自信を与えてくれるとのことです。
被害者という感情から抜け出て、自分自身を癒し、自分自身を助けることができるという恩恵があります。